musicoholicが選ぶ次世代バンド紹介コーナー。それが【キニナル!】です。

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■名古屋発。文系シューゲイザーの新感覚派!

名古屋を中心に活動する溶けない名前、初の全国流通盤。名古屋在住で東京でのライブは数少ないにも関わらず、これまでに制作した2枚のEP(「おやすみA感覚 e.p.」「おしえてV感覚 e.p.」)は東京のポストロック/シューゲイザーシーンにじわじわと広がり、満を持してのフルアルバムの登場です。

と、ここまで読んだところで、彼らの言語感覚に、胸がざわざわとする人がいましたら、そのざわつきを信じて、すぐにCDショップへダッシュしてください。その期待はすぐに確信に変わるはずです。「A感覚」「V感覚」という言葉から導かれる明らかな稲垣足穂の影響は、轟音ギターと、たどたどしいシンセのサウンドによって、21世紀の新感覚派へとアップデート。儚げな少女への偏愛をつづるイトウリュウタ(Gt/Vo)の詞は、うらたにうらん(Key/Vo)というパートナーを得ることで、倒錯と陶酔を大きく吸い込み、聴き手の耳にその甘みと苦みを染み込ませます。

少女の官能基から流れ出るメロディを採譜したい/感動的旋律に酔いしれるだけさ/いいだろう!『少女の官能基』

多くのシューゲイザーバンドが歌詞を隠し、サウンドの焦点を外し、意味を失わせることで、桃源郷的な世界を描こうとするのに対し(マイ・ブラッディ・バレンタインがそもそもそういうバンドだったと思います)、溶けない名前のオリジナリティは、この大正文学のような歌詞世界をあえて聴かせることで、聴き手を異世界へ連れ込み、座敷牢へと捕らえてしまうところにあります。

彼女が通り魔に切られた髪の毛の行方を今も探してるんです 『感じる計算機、二十一歳』

此岸と彼岸が同じ舞台に並び立つ能のようです。そこがユートピアなのか、ディストピアなのかは、座敷牢に捕らえられたあなたに是非、決めてほしい。

『カルピスちゃん』MV




透明感と構築美のなかに、無視できない汚しを混ぜるビジュアルのバランス感覚。絶妙。

溶けない名前official tumblr
http://tokenainamae.tumblr.com/

(文:サッタ)