lyrical school 『ワンダーグラウンド』

wonder-A

 

 

 









■きっと何度でも思い出す

タワーレコードが設立したアイドル専門レーベル、
T-palette Recordsに所属する6人組ヒップホップアイドルユニットlyrical school(通称リリスク)。昨年10月にリリースしたシングル"PRIDE"ではオリコン総合ウィークリーチャート9位を獲得し、その後行われた恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライブもソールドアウトさせた。今年の3月には2枚目となるアルバム『SPOT』をリリースし、ただ今全国ツアーの真っ最中の彼女たちが、最新曲となるシングル『ワンダーグラウンド』を7月21日にリリースした。


表題曲である「ワンダーグラウンド」は作詞を
KICK THE CAN CREWLITTLE、作曲をももいろクローバーZの「5 The POWER」の編曲などを務めたSUIが担当している。小気味いいカッティングギターに軽快なパーカッション、シンセとストリングスが折り重なる4つ打ちのディスコサウンドは聴く者を真夏の夜の夢へと誘ってくれる。


この曲の一部のメンバーのパートでは
lyrical schoolの地続きのストーリーと繋がったリリックが綴られている。
 

あの日差し出した手

気づいてたよ 始まりだって

秘密にしてた願いが叶って

いつのまにか世界が変わってた

minan

 

まだまだ先は長い長い

ハンカチの準備はまだいらない

mei

 

遠いゴール エンドロール

あの日の続きのデートコース

hina

それは紆余曲折を経てきたリリスクの、
これからも続く物語への新しい決意表明のようでもある。

ただ、一方でこの曲で歌われている歌詞はとても刹那的だ。



楽しもう今日は今日だけだから

ayaka

 

今 時間が止まって

見つめあっていたんだよ なんて

嘘でも本当にして欲しい

hina

 

ねぇここで ずっと踊ってたいなんて

ねぇここで 君と笑ってたいなんて

ねぇここで ずっと踊っていたい

ねぇここで 君と笑っていたい

hook


「ワンダーグラウンド」はリリスクとしての新たな決意表明をしている傍ら、いつか終わりが来ることの無常
を受け入れた上で、それでも今その瞬間を幸福なものにしたいという儚い願いが込められている。

続くカップリングの「
Avec Summer」はマネージャー兼バックDJを務める岩渕が作詞だけでなくトークボックによる歌唱も務めている。「ワンダーグラウンド」から一転、夕暮れのビーチを思わせるようなメロウなトラックにこちらもカッティングギターが波に揺られているような穏やかなグルーヴを生みだしている。リリックも一夏の思い出を風景に閉じ込めた情景が流れるセンチメンタルなナンバーだ。韻で半音ずつ上げながらもスムースに言葉を並べ立てるhinaのロングヴァースがとても心地いい。

しかし今作のシングルに収録されてる
2曲「ワンダーグラウンド」、「Avec Summer」だが、夏を彩る楽しげなムードのある一方で、どちらにもどこか哀愁や寂寥感、一種の諦念が宿っている。そしてその無情を受け入れた上で歌われる希望や願いが、その「今」を輝かせている。


アイドル(特に女性アイドル)の旬、アイドルとしての寿命は一般的には非常に短い。アイドルブームが起きた今では、毎日のようにどこかでアイドルが生まれ、毎日のようにどこかでアイドルが普通の女の子に戻っていく。そんなアイドルたちは「今」や胸膨らむような「未来」を歌うことはあっても、いつかやって来る「終わり」を歌うことは少ない。

lyrical school
はどういうアイドルなのだろうか?

開放的で華やかなパーティーチューンで現場を最高潮に盛り上げてくれる。メロウなトラックとちょっとだけ背伸びした理想を歌った歌詞で男女のロマンスとそこにあるトキメキやドキドキを掬いとってくれる。代わり映えのない日常に寄り添ってくれ、その中に隠されている感情の機微に気づかせてくれる

人によって受け取り方は違うだろうけれど、そのどれも正解だと思う


でもリリスクが、ずっと変わらずにいることがある。


それは、
lyrical school

いつか終わりがくることを歌えるアイドルということだ。


っていうかここだけの話

えっなにない?

楽しい時間はあっというま

girl’s flowers

 

毎週 毎週 毎週

君に会いたい 居たい 今以上

アイス アイス アイス

みたいにとけないで

<そりゃ夏だ!>

 

PARTY TIME まだまだ足りない

HAPPY TIME 涙でちゃうね

FRESH!!!

 

私たちはティンカーベル

じゃないってとっくに知っちゃってる

<ワンダーグラウンド>

 

出会えたから余計

離れたくない

でも行かなきゃ

(帰りたくないが本当)

bye bye


リリスクの曲には
一見楽しく聞こえる曲にも
終わりがきてしまうことの寂しさ

終わらないで欲しいという切実さが詰められている

僕たちは知っている

始まりがあるものはいつか終わる

どんなに幸せな時間も
当たり前のように訪れるこの毎日も
大切な人の命も
全ての人の人生も

いつか必ず終わりがくる

僕はリリスクに関してブログを書く時
いつも「今回が最後かもしれない」と思っている

リリスクが好きだから
ずっと彼女達の活動を見ていたいし
ずっとこの楽しい時間が続けばいいのにと
いつも思っている

でも 知っている
そんなことはありえない

今 こうしている間にも時間は流れ
その瞬間に向かっている
それがわかっていながら
また 彼女たちに会いに行く

今でもたまに言われる
「いつかいなくなるアイドルなんて追いかけてなんになるの?」

なんになるかはわからない なんにもならないのかもしれな
もちろんアイドルと付き合えるわけでも結婚できるわけでもない
気づけば財布は軽くなっていくばかり
おまけにファンだけを残して去って行ってしまったアイドルを何人も見てきた

でも終わるということが
なくなってしまうということを意味しているわけではない


残っていくものがある 必ず


終わっていくものは
その後に 何かを残していく

辿って来たその道程
辿り着いたその足跡

その目で見た景色
肌で感じた熱気
交わした言葉
呼び名のつけられない感情

一つ一つが
記録に、記憶に
人の心に残っていく
 
そうして残った灯火が
明日からの日々を生きていく灯台になってくれる

落ち込んだ時や冴えない時には思い出が
心を照らす明かりになってくれる

7月25日 
Zepp DiverCityにてlyrical chool過去最大規模のワンマンライブが行われる。
 
その日が終わった瞬間、そこに何が残っているか
それはその時がくるまで誰にもわからない

でも

リリスクは終わりがくることを知っている
いつか終わりがくることを歌っている
楽しい時間が終わることはすごく寂しい
けれど、終わりがくるからこそ
「今」の大切さを一緒に感じられる

そして、終わっていった「今」だって
これからの僕たちを支えてくれる


明日になれば思い出

だからこそ今を残してく

photograph

 

きっと何度でも思い出すはず 今年の夏 心に刻む

一瞬一瞬の思い出を しっかりと胸に閉じ込めよう

Avec Summer


そう歌ってくれる彼女たちを

信じたい
信じてる

信じることで きらめきだす

終わりがきても
なくなりはしない

残り長いのか短いのかすらもわかない人生の中で
きっと何度でも思い出す

何べんだって
そうリピート
あの日のワンシーン
ゆっくりと
流れる頭の中 もう一度
あなたとまた

もしこの文章を読んでくれていて
まだ迷っている人やチケットを買っていない人がいたら
7月25日 Zepp DiverCity
何が残っているか 一緒に見に行きませんか

初めての人も
緊張している人も
楽しみな人も
よく知らないって人も

きっと大丈夫

6人の
MCが連れてってくれるよ
笑顔のワンダーグラウンド




(文:カヲル)