11/2(日) lyrical school oneman live@恵比寿リキッドルーム

◾︎さらばtengal6。新たな旅立ち。


ひどく個人的な話だが、僕はtengal6〜lyrical schoolへの過渡期をギリギリ観ることの出来た世代のファンだ。
その過渡期には楽曲の変化、ライブの変化、メンバーチェンジなど様々なことがあった。
中でもメンバーチェンジが2回あったことはリリカルスクールにとって本当に大きなことだった。
通常のアイドルであれば、例えメンバーが変わったり増員があったとしても、楽曲やライブにさほど大きな影響はない。抜けたパートを他のメンバーが歌うことで成立させることが出来るからだ。(※もちろん声の好み、歌の上手い下手など影響する要素は存在する。)
しかし、リリカルスクールはヒップホップアイドルというところに大きな問題であった。ヒップホップの基本姿勢は「自分を誇る」こと、つまり極私的なことを歌うことで自己肯定するというマインドを持った音楽だ。したがってヒップホップアイドルを名乗るリリスク(tengal6)がメンバー個人に即したリリックを歌うことは必然であった。
そうした活動の中でのメンバーの卒業。卒業するということはもうそのリリックは2度と歌われないということだ。ヒップホップアイドルとはそういう宿命を背負ったアイドルだった。
実際、リリスクはメンバーが変わるたびに楽曲の封印→リリックの書き直し→再披露を繰り返しながら歩んできたグループだった。
今回の『PRIDE』の初回盤に収められている初期曲のリテイクもそうだ。自己紹介ラップはもちろんリリックの書き直しをしているし、関西弁のフローがあった曲は標準語として書き直されている。そうして音源やライブが少しずつtengal6のイメージから今のlyrical schoolのイメージへと移行してきていたのだが、僕はそこに一抹の淋しさを覚えていた。もちろん今のリリスクも大好きなのだが、やはり昔の音源には昔の音源なりの強い思い入れがある。今回の再録曲はその想いを上書きされてしまったかのような、そんなモヤモヤした感情を抱いてしまっていた。


11/2(日)に行われたリリカルスクールの恵比寿リキッドルームでのワンマンライブ。
これまでのワンマンでは史上最大規模、結成後の初ライブから丸4年という日に行われた記念碑的位置付けのライブだったが、過去に触れたのは『FRESH!!!』の曲の前に「初めはヒップホップも聴いたことなかった私たち。(中略)今は胸を張ってこう言える。」「らっぷをするのはたのしいです!」との曲振りがあった程度で、あくまで『今』のリリカルスクールを魅せることに徹底していた。それはほとんどMCを入れず、2時間半で持ち曲ほぼ全曲披露(35曲中33曲!)したことからも読み取れるだろう。

その中で披露されたtengal6のアルバム『CITY』に収録されている『bye bye』という曲がある。パーティーの終わる淋しさを綴った曲だが、この曲は過去2回あったメンバーの卒業ライブで印象的に使われたことで特別な意味を持つ曲になってしまった。あの時、ボロボロに泣き崩れてまともに歌えなかったあの光景。それはヘッズの心に深く焼きつき、トラウマとでも言うべき1曲になってしまっていた。
その楽曲をerika卒業ライブ以来披露した。今のメンバーとしては初の披露。特にMCで意味を持たせたわけでもなくサラリと披露したが、僕のこのリキッドルームでのハイライトはここであった。この曲が特別な意味を持たず普通の楽曲の一つとして披露されたことで、僕はようやくあの日のトラウマを振りほどくことが出来るように思えた。そしてこれはtengal6に向けた鎮魂歌のようにも聴こえた。


bye bye 素直じゃない私のこともっとわかって
bye bye 寄り道はなしよ 置いていかないで
bye bye 並ぶ背中 何時の間にか触れ合う手と手
bye bye 進んでいこう まっすぐゆっくりで
bye bye おかえりが待ってる いつものとこへ
bye bye また楽しいこと私と探して?

bye bye 何回目の
bye bye 会いたいでも
bye bye またね

tengal6 / bye bye


音楽ファンはどうしてもその音楽に夢中になった頃の曲に思い入れを持ちがちだ。その音楽のメロディー、ボーカル、楽器の鳴り、録音の空気などの全てを含んでの大事な一曲だ。だからボーカルが変わるだけでも相当な違和感を覚えてしまう。今回のリリスクの楽曲も例に洩れなかった。けれど、どんなに想ってももうあの2人は帰ってこないのだ。時間はただただ過ぎていくし、どうやったって過去を変えることは出来ない。ならば出来ることは一つ。想いを胸に前に進むだけだ。もうそろそろあの2人をtengal6の音源の中から解放してあげようじゃないか。

その気持ちを代弁してくれたかのような事が起きた。アンコールで、これまたmariko卒業ライブ以来、現メンバーでの初となる『6本のマイク』が披露された。tengal6時代、自分でリリックを書いてみようという企画で誕生したこの楽曲。まだhina、minanがリリックを書いていなかったので長らく封印されていたが、このタイミングでようやく解禁された。しかも驚いたことにhina、minanのヴァースだけでなくオリジナルメンバー4人のリリックもリライトされていた。
その中でmeiは次のように綴っている。

2014-11-03-05-19-17


「6マイク プラス 2マイク」。この言葉が全てだ。2マイクがいたからこそ今のリリスクがある。決して二人を忘れるわけじゃない。そのマイクは新たなメンバーに引き継がれ、6人はとっくの昔に先を見つめている。ならば僕も前を向こうじゃないか。
そんなことを考えてたら、ようやく僕の中にまとわりついていたtengal6の幻影がなくなった気がした。新たな『6本のマイク』はリリスクの未来を、そしてヘッズとしての僕の心も照らし出してくれた。

そんな矢先に告げられた来春、ニューアルバムリリースの報。
きっと今の6人の全て、そしてチームリリスクの全てが詰まったアルバムになるだろう。
『今』が強く反映されたアルバム。それはリリスクをより高みへ連れて行ってくれる1枚になる。このリキッドルームのライブからそんなことを想像するのは容易なことだった。

まだまだこの先も6人の物語は続く。
ここ恵比寿リキッドルームを新たな出発地点にどんな軌跡を描くのか、引き続き見守っていきたい。

setlist

brand new day
tengal6
My かわいい日常たち
決戦はフライデー
Maybe Love
ルービックキューブ( fragment remix )
もし

fallin' night
しってる / しらない
でも
P.S
まちがう
流れる時のように
抜け駆け

FRESH!!!
リボンをきゅっと
PARADE
プチャヘンザ!
わらって.net
Akikaze
bye bye
ひとりぼっちのラビリンス
ケセラセラ
Sing,Sing
おいでよ
photograph
PRIDE

en
そりゃ夏だ!
wow( okadada remix )
S.T.A.G.E feat.深瀬智聖( LinQ )
6本のマイク take2
tengal6( acoustic remix )

(文:ヤット)