■手にしたポップという力
「椎名林檎『丸の内サディスティック』のカヴァーが素晴らしい!」と前作のカヴァーアルバムが話題になったソウル&ロックバンド、UNCHAINが6枚目のオリジナルアルバム『Orange』をリリースした。
今作はとびきりポップなアルバムだ。
5枚目『Eat The Moon』で開花したソウルミュージックのマナーにのっとりつつも、日本語ポップ、ロックとの融合を目指す手法は更に磨きをかけ、より上質なポップミュージックになった。もはや邦ロックという括りはなく多くの人に聴いてもらえる懐の広さを持ったアルバムに仕上がった。
これは近年のUNCHAINが目指していたものの結晶たるアルバムだろう。
思えばこの国の先人達、つまりは山下達郎、岡村靖幸、CRAZY KEN BAND、SUPER BUTTER DOGなどのミュージシャン達はソウルミュージック、ブラックミュージックを基調にしながらも、しっかりポップとして昇華し、多くの人に届けている。彼らの最も敬愛するスティービー•ワンダーもそうした第一人者だ。UNCHAINが今掴もうとしているものはそういったジャンルの垣根を超えた音楽の力なんだろう。
そうすると前作のJ-POPやソウルのスタンダードを中心にカヴァーしたアルバムは先人達の『ポップとはなんたるか』を吸収するという目的もあったのだろうし、そうした吸収したものを短いスパンで今作をリリースしてきたのも頷ける。
5曲目に収録されているバラード『The Inner Light』なんて今までのUNCHAINにはなかったタイプのスローナンバーであるし、J-POPを経由したからこそ生み出せた1曲だろう。
更にバンドはよりいっそうのキャッチーさを求めて佐藤(Gt. Cho.)、谷(Ba. Cho.)ボーカル曲を解禁。
メインボーカルにも劣らないソウルフルな佐藤の歌声や、谷の敬愛するヒップホップの影響が感じられるボーカルも楽しむことが出来る。こちらも一つの聞き所なのでお楽しみに。
AORやジャズ、90's 渋谷系など耳触りの良い音が続く至福の45分間。
この夏、ポップを手にしたUNCHAINに体を預け揺れてみるのもいいかもしれない。
(文:ヤット)
UNCHAIN / Smile Again
info)
UNCHAIN 6th Album Release Tour "Orange Road"
2013年6月26日(水)宮城県 仙台LIVE HOUSE enn 3rd
2013年6月28日(金)大阪府 心斎橋JANUS
2013年6月29日(土)愛知県 池下CLUB UPSET
2013年7月04日(木)広島県 広島Cave-Be
2013年7月06日(土)福岡県 福岡Queblick
2013年7月12日(金)東京都 Shibuya O-WEST
2013年7月18日(木)北海道 札幌KRAPS HALL
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