■馴れ合いきったアンコールに物申す!


「そーれ!ももいろアンコール!」

アンコールの声がこだまする。ももいろクローバーZのライブのアンコールの声援の大きさを聞くたびに毎回感心する。会場にいる全員がもう一度メンバーに会いたくて声を張り上げる。アイドルだからこその求心力があるのだろうが、その怒号からは「まだ終わりたくない。もっと楽しみたい。」という想いがひしひしと伝わってくる。
メンバーもその声に応え、全力でライブする。時にはダブルアンコールに応えることさえある。

こういう光景を見る度に「本来アンコールってこういうもんだよなぁ…」と思う。

僕はよく小さなライブハウスのロックのライブに行くことが多いのだが、そこで起こるアンコールは手拍子が主流だ。これを聞く度に「本当にみんなアンコールして欲しいんだろうか…?」といつも思う。

手を叩く。最も簡単に音が出る誰にでも出来る行為。
ただその手拍子に、その音にどれだけの想いがこもっているのだろうか。そしてその音はアーティストの心にどれだけ届いているのだろうか。

パンクロックのライブは「オイ!オイ!」と声を上げる。これはパンクの持つ熱量が起こす興奮状態から起こる歓声かもしれないが、喉が枯れるほど叫ぶ人もいて、それはその人なりのバンドへの想いの表れなのだろう。
その一生懸命な姿は人を突き動かす。だからバンドも応える。

アンコールというものは、本来全てのステージは終わったのに、お客さんの要望に応えて特別にちょっとだけやります、というのがアンコールだ。
それが今やアンコールというものは形だけになってきていて、アンコールも含めてステージ構成しているアーティストも多い。
本来そういうものじゃない。予定外のものだ。これははっきりいってアーティスト側と客側の甘えが生んだ結果だ。

アーティスト側もアンコールもらって嬉しい気持ちもわかるが、毎回アンコールに応える必要はない。もうステージは終わったのだから。
ただ「今日はいいライブだったな。まだ終わりたくないな。」だとか「すげー客が熱く呼んでる。しょうがねぇ、やるか!」みたいに思ったらアンコールやればいい。
こういうことをアーティスト側がやらないと現状のような「甘え」が発生する。

客側も「どうせ出てくるんだろ」といった意識がアタマの片隅にありながらアンコールする。
もしアーティストが出てくるか出てこないかわからない状態だったらどうだろうか?
ただの手拍子だけで「出てきて欲しい!」という必死な想いはアーティスト側に届くだろうか。

僕は客電が点いて終了のアナウンスが流れてもアンコールし続けるお客さんに対してアンコールに応えたバンド、対バン形式で1バンド目なのに熱いお客さんのアンコールに対して、主催のバンドに土下座してアンコールに応えたバンドなど様々なアンコールを観てきた。こういったケースを見るたびに、こういうものが本来のアンコールだと感じる。
今の馴れ合いで起こるアンコールなんて計算尽くされたステージの1部でしかない。

こうしたアンコールに陥らないためにはアーティスト側も客側もお互いに努力しなければいけない。
あなたがアンコールに対して少しでも違和感を感じているのなら、次のライブからでも少しでも熱い気持ちをぶつけてみたらどうだろうか。
そしてこの記事をもしアーティストの方が呼んでくれていたとしたら、少しアンコールというものを見つめ直してみて欲しい。

ライブはアーティスト、お客さん、みんなで作るもの。より良い空間を作るためにお互い考えていこうじゃないか。


※この意見は個人的見解であり、反論、異論もあると思います。そういった場合はコメント欄にて様々な意見をお寄せ頂けると嬉しいです。